脊髄損傷の治療方法

脊髄は一度損傷してしまうと二度と元に戻りません。
事故などが起こって脊髄の損傷が疑われるときに取られる処置は、脊髄の損傷を元に戻すためのものではなく、損傷の範囲を拡大させないために取られるものです。
脊髄の損傷が疑われる患者に対しては、それ以上体を動かさないため、硬い板の担架にベルトできつく固定して病院へ搬送します。
脊髄を損傷している時に、損傷部分を動かしてしまうと、損傷の範囲が広がる可能性が高く、麻痺の範囲が拡大してしまう恐れがあるからです。
搬送された後の病院での処置は、外傷の治療とともに、損傷した脊髄によって引き起こされる麻痺への対処となります。
脳に近い部分の脊髄を損傷すれば、呼吸器が麻痺してしまい、自発的な呼吸ができなくなります。
この場合には速やかに気管切開の上、人工呼吸器の装着を行います。
胸から下の脊髄を損傷した場合には、四肢の麻痺や閉尿、自律神経障害などが起こりますので、速やかに全身状態の管理と共に尿路の確保や褥瘡を行います。
また、外傷部分の腫れによって、損傷を受けていない脊髄を圧迫してしまうことで麻痺が広がる可能性も高いので、外傷後8時間以内にステロイドを高用量で静脈注射して腫れを抑えます。
脊髄の損傷による四肢の痙攣を抑えるために、筋弛緩剤や鎮痛薬などが用いられることもあります。
MRIやCTなどの検査によって、脊髄を圧迫する原因を手術で取り除けることが分かれば手術を行います。
しかし、これらの処置はすべて急性期を脱するためのもので、傷ついた脊髄の機能を回復させるものではありません。
あくまでも傷を元に戻すための処置で、機能の回復は現代の医学をもってしても不可能です。
そのため、意識が戻り、麻痺の状態を自覚した患者は酷く傷つき、時にはうつ病になってしまう人もいます。
麻痺の無い部分で日常生活を送るためのリハビリと同時に、障害と向き合うためにも、心理的カウンセリングが非常に有効とされています。
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